こんにちは前橋准看護学校です。
ゴールデンウイークがはじまりましたね。今年もステイホームが推奨される連休となりましたが、その中でできる事を見つけて楽しみたいですね。ステイホームのお供として、今回は看護にまつわる話題を取り上げてみようと思います。
祝日と違って休みになるわけではありませんが、世界には多くの記念日がありますよね。メジャーな記念日から聞いたことないような記念日まで他種多様です。
私たち看護携わる人間にとって馴染みのある記念日がもうすぐやってきます。5月12日
『看護の日』です。
5月12日は英国出身の看護師、フローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ、彼女の功績を称え、国際看護の日としています。日本では5月12日を看護の日とし、この日から一週間を看護週間として看護の啓もう活動をしています。
ところで皆さんはナイチンゲールって何をして有名になったのかご存じですか?看護師だという事は知っていても彼女の業績や人物像は『看護師としてのイメージ』がひとり歩きしている印象もあります。今日はナイチンゲールについて少しだけふれたいと思います。
イメージの中のナイチンゲール
ナイチンゲールには「白衣の天使」や「ランプの貴婦人」の呼び名に代表されるような奉仕や献身、温和で柔らかなイメージがあります。ですが、実際の彼女は自分の役割を果たす為、信念を曲げず突き進む毅然とした女性だったようで、「白衣の天使」ともてはやされるのはあまり気乗りしていなかったようです。看護師の役割が奉仕や自己犠牲ありきのものと考えることにも強く反発し「看護は犠牲行為であってはならない、人生の最高の喜びのひとつであるべきです」という言葉を遺しています。
この言葉の裏には、19世紀における看護婦*と女性の地位の問題が絡んできます。
当時の看護婦*の地位は、召使いや使用人が請け負うものとされることもありました。また女性の社会進出も未踏の段階で、女性は男性の庇護をうけるものという常識があったことがうかがえます。看護婦の地位向上と女性の社会進出を進めるため旧態依然とした世の中やイメージを看護の世界から変えようとしたのかも知れません。
(*文中の看護婦という表記は当時の呼び名に則しました。現在は看護師という表記です。)
功績
最も有名な功績で言うとクリミア戦争時に、看護師団を引き連れ野戦病院に従軍し、日夜を問わず献身的な看護をした話がよく聞かれます。日夜を問わずの看護に焦点がいきがちですが、医療や看護の点で最も注目すべく点は、劣悪な環境の野戦病院の衛生面の改善したという点があげらます。負傷者自身や、病室、病院全体の清潔を保ち、風通しを確保、病人には栄養のあるものを摂らせる、など衛生管理を徹底しました。現代では当たり前のことですが、当時では画期的な改革のひとつでした。
看護師の偉人というと、超人的な看護技術と優れた知識を持って現場を渡りあるく、凄腕看護師のようなイメージが浮かんでしまう方もいるかもしれませんが、先述したような看護のやり方を提唱し、それを定着、教育した改革者として輝かしい功績を残しています。また後進育成にも尽力し、病院の改革や、看護学校の創設に尽力しました。
彼女には統計学者としての顔もあります。看護知識だけではなく統計学者としても非常に優秀でした。軍隊の衛生環境を改善するためには、現場の状況を把握し、それを軍上層部に報告しなければなりません。その際に用いたのが数値やグラフをまとめあげた統計学によるレポートです。その分析能力や彼女の采配は当時の王室も一目置く存在だったようです。
この令和の現代でも彼女が作成した「看護覚え書き」と呼ばれる指南書をもとに、多くの看護学生が自身が看護者と歩んでいく為の道先案内として勉強に励んでいます。
本校の各教室にはナイチンゲール誓詞が掲げられています。これは厳密に言うと、彼女自身が作ったものでないのですが、ナイチンゲールの功績を称え、看護学生の目指すべき理想像を説いた言葉です。近代看護学の母と呼ばれる所以はここにあります。
実は昨年、2020年はナイチンゲール生誕200年の節目の年だったんです。1年前のこの時期は一回目の緊急事態宣言が発令された期間で彼女の、記奇しくもその年に新型コロナウイルスが世界に蔓延し、ナイチンゲールが提唱した、衛生観念、換気の重要生、など医療・看護業界での常識は、200年の時を経て、非医療従事者にも『新しい生活様式』という名で広く知れ渡りました。200年前の近代看護学の母の目に、未来の私たちが経験してきたコロナ禍の1年はどんな風に映ったのでしょうか。
ナイチンゲールはこんな言葉も残しています。
「看護とは、私たちたちが年ごと、月ごと週ごとに進歩しつづけていないかぎりは、まさに退歩している、そういうものなのです」
看護だけに留まらず、すべての人に言えることかも知れませんね。
新しい世の中で生きていく為、私たちも前に進んでいくしかありません。
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